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もてあましたひとの




心をもてあまして詩を書いた
気持ちをもてあまして小説を書いた
行き場のない散らかった感情を
昇華して
消化したくて

恋を歌った曲をばかにして
愛を描いた物語をわらって
高見の見物に浸って
傍観者に興じて
孤独を演じて

いちばんの「ばかもの」は自分だった

当事者にならなかったのではなく
当事者になれなかったのだと
認めてしまったその先に
瓦解してゆく自分が見えた

崩れた後に残ったものは
強さでもなく
弱さでもなく
素直さでもなく
強情さでもなく

ただのおんなのこだった

ノートに書き殴った物語は
幼子が生まれてはじめて描く絵に似ていた


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